グランドキャニオンツアーにお客さんを連れて行ってきたのは帰国前日のことである。
これは、飛行機でグランドキャニオンの近くまで飛んで、そこからバスに乗り換え2つの観光ポイントをまわりまた飛行機で戻ってくるというツアーだ。 ちなみにあたくしは一度、冬にこのツアーでグランドキャニオンに来たことがあり、今回は二度目である。 あたくしは大自然に感動しないタチなので、初めて行ったときの記憶がほとんどない。だからあたくしの感想はあてにならないがグランドキャニオンは、かなりすばらしいというのが一般論だ。
さて、このツアーは、正午の出発で、まず食事をとることになっている。
グランドキャニオンに向かう飛行機は10人〜20人乗りの小さい機体。とても揺れることがあり酔う人もでてくるので、この食事をなるべく控えるのがふつうであるが、例のよってあたくしは鬼のようにたべていた。 というより、あたくしは時差ぼけが睡眠ではなく食欲にでてくるようで、なにやら一日中おなかがすいて仕方がない。
「いや・・・みそぎさん・・・それは食べ過ぎじゃないすか?」
「シャチョーヒショが食べ過ぎて酔ってリバースしちゃったら、今回のツアー最大のネタですよ」
お客様からは口々に親切なアドバイスを頂いた。いいや!ここでリバースしたら本望でわないか? 日々お客様のエンターテイメントのために体を張ってネタ作りに努力するあたくしの姿を、ボスのノリダー(♂)にみせたいものである。
結局飛行機乗って3分後にはがーがー寝てしまい、離陸も着陸も気がつかなかったあたくしは、結局リバースすることはなかったのは、実につまらない話だ。
そういえばこの食事のとき、 そうだ!翌朝は出発が早いから朝食を食べるヒマがないな。よし、ここは明日の朝食のためにバナナを確保しておこう!と、ビュッフェでバナナを数本もらってバッグにしまって持ってきたが、グランドキャニオンをまわる間、ずっとバッグの中がバナナくさくて大変だった。しかし何よりの誤算はこの姿を多くの客に見られていたことだ。
翌朝、集合場所で
おなか空いてる方いませんか?バナナありますけどいかがです?
と、何人かのお客さんに声をかけた。なんと気の利くヒショだろう!とあたくしは自画自賛したが
「つか、みそぎさん、それ、昨日のビュッフェでもらってきたやつでしょ?なんかサルみたいにバナナやまほど抱えてあるいてましたよね」
と、みんなから指摘され、激しく女を下げてしまった。
あたくしは、弊社のシャチョーヒショとして激しく高貴な雰囲気をかもしだそうと日夜努力したのだが、ああ、そういえば帰りの飛行機の中でのお客さんと会話。
あら、真ん中の席なんて辛いでしょう?私の通路側と交換しましょうか?
「みっ・・・みそぎさんっ!そんな親切なこと言ってどうしたんですかっ!」
・・・・_| ̄|○
ど〜も失敗に終わったらしい・・・・
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