あたくしはいま、極度の時差ボケになやんでいる。
眠いとか眠れないとか、そんなシロウト臭い時差ボケではない。いや、時差ボケにアマチュアもプロもないのだが、とにかく、体内時計が完璧に狂ったらしく、ラスベガスに到着して以来とにかく終日おなかがすいて仕方がないのだ。どうやら、満腹中枢が激しく時差ボケをおこしているらしい。
日本時間の朝昼晩、アメリカ時間の朝昼晩・・・滞在中は、ゆうに一日5食は食べたような気がする。帰国後、飛行機のせいでむくんだ体と相乗し、みごとにでぶでぶになった自分の姿をみて愕然としたが、しかし胸だけはむくんでくれないのは、これいかに?
それにしても、一日5食もたべるほど、ベガスのメシはうまかったのかというと、もちろんそんなことはありえない。
ベガスでは神戸牛が流行っているのか、ちょっとしたレストランに入るとメインにかならずコウベ・ビーフの文字があった。これを2度ほど食べる機会があったが、いずれもテーブルをひっくり返したくなるようなシロモノである。
賭けてもいい。たぶんあれはアメリカ牛だ。そしてきっと数年後、われわれ24人は脳みそが海綿体になるに違いない。
ちなみにこんなあたくしが日本に帰ってきて真っ先に食べたのは焼き肉である。霜降りの白はオパールのように輝き、さっとあぶってそれを載せるは魅惑のアンブローシア白いごはん!ああ、世界で最高の肉はニッポンにある。ビバ!特上カルビ!
ということで、いや、あたくしは牛肉論を語りたいのではない。そんなテーブルをひっくりかえしたくなるようなコウベ・ビーフでもたべずにいられないほど、あたくしはおなかがすいて仕方がなかったのだ。そしてそれはいまだに続いている。
飛行機の窓から果てしなく続く地平線を眺めたときには何も感じないが、一日中口をもぐもぐさせている自分の食生活をかえりみてこそ、あらためて実感する。
地球はまるい
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