一流大学工学部の修士をおさめた秀才君で、スキーもインストラクターなみのスポーツマンだが残念ながらテツであるところの、あたくしの同僚のタケシ。この正月は実家の大阪に帰省したのだが、帰りはなんと青春18きっぷで帰ってきたそうな。
どぇーっ!大阪から何時間かかったの!?
「12時間ぐらいかな。それよかさ、きっぷがまだ余ってて、今週末は新潟までスキーにいくんだ。ィェィ」
新潟まで青春18きっぷ?何時間かかるのさ
「5時間ぐらいかな」
一生青春やってろ
「でも駅降りると目の前スキー場でさ。しかもガラガラなんだぜー。リフトも待ち時間なし」
気をつけなよー。私のまわりもさスキーで靭帯切ったととか骨折したとか最近多いんだよね。もう若くないんだからさー。
「いい年こいてバイクでレースやって骨折してるヤツにいわれたくないよ」
むかーっ!タケシなんかテツのくせに!テツテツテツ!ばーか!
「ふははは!でわよい週末をっ!」
タケシは風にように去って行った。
タケシには、なにをやっても勝てません。
仕事で今年初めての成田空港。帰り際第1ターミナルのスターバックスでコーヒーを一杯。よくみたら、カップにこんなメッセージが書いてあった
ここのスタバの店員さんは、夕方になると、空港の職員IDカードを持ってる人には「いらっしゃいませ」じゃなくて「おつかれさまです」と声をかけてくる
お疲れ様。今年もよろしくね
とある秋の日。家に帰ると、宅配便の不在通知がきていた。友人の岩手県在住公務員から。中身が「りんご」とある。
おおおおっ!やたーっ!
はっ!まてよ。りんごと言って中身は南部鉄の鉄アレイとか、蕎麦アレルギーのあたくしへの挑戦としか思えないわんこそば100杯分とか、そういういことはありえないか?
あたくしは、宅配便の中身の記載と、実際に入っているものが記載通りであるとはおいそれと信じないことにしている。
そう・・・あれは昨年の暮れのことだ。
弊社は年末に、日頃お世話になっておるお客様へカレンダーを配るのだが、ひとつひとつが箱にはいっているので、20枚も束ねると大きめの段ボールひとつぐらいになってしまう。
で、そのカレンダーを詰めた箱を弊社国内最大顧客A社の某部署に、宅配便で送ることになった。
そこであたくし、高尚なジョークを発案。中身を「カニ」として送ろう!!どうせならクール宅急便で送ればさらにリアルだが、まぁそこまでサービスするのはやりすぎだろう(←いたずらを完全にカスタマーサービスと勘違いしている)
ということで、届いたなと思った頃、先方からお礼の電話。こう言ってはなんだが、弊社のカレンダーは結構人気で、非売品でもあるためどこでも争奪戦になるのだ。だからたいてい喜んでお礼の電話がくるのだが、
「たまえさん・・・カレンダー届きましたよ。ありがとう・・・・」
やだなー、テンション低いじゃないですか。今年のカレンダーもいいデザインでしょ?
「あのですね、私、届いたときちょうど外出してたんですけど、わざわざオフィスから電話がきたんですよ。『B社から、クール宅急便でカニがとどいてます!』って・・・」
聞けば、あまりにも寒い日だったんで箱が冷え切り、受け取った人はクール宅急便と勘違いしたらしい。しかも中身がカニと書いてある。かたすみに「なんちゃって、ホントはカレンダー」と書いてあることになどだれも気がつかない。オフィスは歓喜に包まれ、その日の食卓が目に浮かんだのだろう。
「私、すっとんでオフィスもどりましたよ。ところが開けたらカレンダーじゃないですか・・・。もうオフィス内、大ブーイング・・・。しばらくウチには近づかない方がいいかとおもいます。たまえさん、殺されますよ・・・」
・・・ということがあったのだ。いや、しかけたのはあたくしなのだが、日本には人を呪わば穴ふたつということわざがあるので、あたくしは以来、宅配便には細心の注意をはらっている。
そんなわけで、もはや中身が「りんご」と言われてもそう簡単に信じるわけにはいかないのだよ、アケチ君。あたくしの友人の名はアケチ君ではないし、そもそもまず反省しろよという話もあるがな・・・
で、問題の宅配便の中身だが、案の定、はい、おいしいおいしい、それは立派なまぎれもないりんごでした・・・
ウチのオフィスは私を含め全部でスタッフが7人いるが、日本人はあたくしとタケシのふたりである。
タケシは某一流大学工学部大学院出身、某有名一流企業に入社後今の会社に転職してきた。聞いただけですばらしいスペックだし、とてもいいヤツで、あたくしとは同じ年ということもあり、話題も近く仕事もしやすいのだが、惜しむらくはテツである。
まぁ、いまとなってテツはすっかり市民権をえているし、昔と違ってもはや隠すような趣味ではない。それどころか乗りテツでもあるタケシは、電車や路線の質問をすると、さらさらとみどころやうんちくをとても詳しく説明してくれるので、旅好きなあたくしにとって実に便利なヤツでもある。
さて、このテツのタケシが先日あたくしのデスクに近づき、言った
「JR北海道の事故の原因が何にあるか、考えてたんだけどさ・・・」
あぁ・・・やっぱりあの古い企業体質が問題なんじゃないの?
「ちがう。のろいだよのろい。」
へっ?
「明治の頃、北海道の路線開拓のときに働かされた人たちののろいだとおもう」
つか、いったいなんの話さ?
そう聞くと、取り出したのは一冊の本『常紋トンネル』。ああ、あの、囚人が奴隷のように働かされて最後は人柱にされたとかっていう・・・?もちろんテツのタケシにとってこんな話は以前から知った話。しかし今回あらためて本を読んで、おしっこちびっちゃいそうになったらしい。一方、霊感とか女のカンというものに全く無縁なあたくし。
はいはい、わかりましたよ。あたくしの次の旅行先決定。冬の常紋トンネル。
「うわぁぁぁ!やめっ!やめやめっ!行ってもいいけど、ヘンなもの連れてこないでくれよ」
あほな・・・
「とにかく、JR北海道はまずやるべきことをしないとだめなんだ!」
社内の体質改善?
「ここまで言ってまだわかんないのかよ?骨の発掘と供養だよ!」
こいつ、ホントにエリート理系卒なのか?
久しぶりに日記を更新したのは理由がある。誕生日の日記から更新がないが、どんだけ誕生日を主張したいのだ、と、バイク乗りのおともだちだけど、一度もバイクに乗っていることをみたことがないところのモモちゃんから指摘を受けたからだ。たしかに女も29になるとだんだんずうずうしくなるよな。はいはい。
ところでこの3ヶ月、職場でドラスティックな変化があったので、書いておく
同僚の、だまってりゃ美人のケイティと冗談はよしこさんの2人が会社都合で退社となり、さらに、あたくしが所属するシンガポールの一部門が組織変更でおとりつぶし。上司と仲間合計7人が解雇になる。どういうわけかあたくしはこのまま残留を指示されたが、たぶんみんなが去った後、骨を拾う役なんだろう。ああ、去るも地獄、残るも地獄。
そんな状況を見た、某日本企業のお客さん
「日本の会社、そういうことはないもんなー。俺、日本企業でよかったー」
そう、そう、よかったよ。あたくしが上司ならあんたなんかとっくにクビにして、あんたの何十倍も仕事ができるケイティやよしこさんを使ってるよ。
悲しいかな、いいものが売れるとは、限らないのだ。
ブライアンはあたくしの同僚の中でも、一番メールのやり取りが多く、一番クローズに仕事をしているシアトル在住のアメリカ人男性だ。仕草も話し方も、姿形もとってもフェミニンなブライアンは、たぶん、というか明らかに男性のほうが好きなんだとおもう。
そのブライアンとあたくしはとても仲良しなので、日頃よりかなりくだらない話でチャットをしたりメールをやりとりしたりしているんだが、だまってりゃ美人の同僚、ケイティが言った。
「ねぇ、たまえさんとブライアンって、ほんとはつきあってる?」
意味がさっぱりわかりません。彼がどういう嗜好の人間か知ってて言ってる?
「だからよ。ブライアンはたまえさんが好きなのよ。なぜならたまえさんは男だから。」
おいこら!
「あー、それ、なんかわかりますね」
と、となりの席の、じょうだんはよしこさんがポツリ
あたくしはこの窮状を、SEブチョーに訴えた
SEブチョー、あたくしとゲイのブライアンが付き合ってるのではないかとケイティがいうんですよ
「実は嫁がレズビアンだったというならまだしも、嫁がゲイの男に取られたっていうのは、あまりにも俺がかわいそうだろう!」
SEブチョーはあたくしと結婚したことで、ただでさえ世間でマニアとかいわれているのに、たしかにこの展開はあんまりだ。
「しかし、そういえばおまへは前の会社でも、ゲイで名高いアメリカ人ボスDにかなりかわいがられていたな」
あーん、モテるって罪だわぁ・・はうっ!げほげほっ
SEブチョーのチョップがあたくしのみぞおちを直撃した
「たわけ。俺の名誉のためにも、おまへがゲイに好かれるという醜聞は可及的速やかにに払拭しろ」
ああ、さようならブライアン!さようなら禁断の愛!
・・・って、ォィ!
震災以来、世界各国のスタッフからお見舞いのメールをたくさんたくさんいただいた。とても懐かしい人たちから思いがけずメールが来たり、本当にありがたい限りだ。
なるべくひとりひとりに返事を書こうとは思っているのだが、あまりにも膨大すぎるので、会社関係の人たちは部門ごと、チームごとなどまとめて返事を出している。
タマエです。みんなあたたかいメッセージをありがとう。私は元気です。
そう、「あたたかいメッセージ」=warm message
しかし読み返してみるとあたくしは書いていた。warm massage・・・
そりゃ、あたたかいマッサージだろ!しかもよりによって数十人にまとめて書いたメールだ。
だが心に大きな傷を負った日本人に、彼らはとても優しい。だれもこのミステイクを指摘する者はいなかった。ていうか、頼むからツッコんでくれよ・・・・。
さて、その後。あたくしは今日も返事を書いている。
タマエです。あたたかいメッセージをありがとう。私は元気です。
よし!今度は間違いないぞ!
と、よくみたらworm massage・・・ってそれは「ミミズのメッセージありがとう」
・・・_| ̄|○
もうたまえちゃんは、今後エイゴができるなんて言いません(涙)