とある秋の日。家に帰ると、宅配便の不在通知がきていた。友人の岩手県在住公務員から。中身が「りんご」とある。
おおおおっ!やたーっ!
はっ!まてよ。りんごと言って中身は南部鉄の鉄アレイとか、蕎麦アレルギーのあたくしへの挑戦としか思えないわんこそば100杯分とか、そういういことはありえないか?
あたくしは、宅配便の中身の記載と、実際に入っているものが記載通りであるとはおいそれと信じないことにしている。
そう・・・あれは昨年の暮れのことだ。
弊社は年末に、日頃お世話になっておるお客様へカレンダーを配るのだが、ひとつひとつが箱にはいっているので、20枚も束ねると大きめの段ボールひとつぐらいになってしまう。
で、そのカレンダーを詰めた箱を弊社国内最大顧客A社の某部署に、宅配便で送ることになった。
そこであたくし、高尚なジョークを発案。中身を「カニ」として送ろう!!どうせならクール宅急便で送ればさらにリアルだが、まぁそこまでサービスするのはやりすぎだろう(←いたずらを完全にカスタマーサービスと勘違いしている)
ということで、届いたなと思った頃、先方からお礼の電話。こう言ってはなんだが、弊社のカレンダーは結構人気で、非売品でもあるためどこでも争奪戦になるのだ。だからたいてい喜んでお礼の電話がくるのだが、
「たまえさん・・・カレンダー届きましたよ。ありがとう・・・・」
やだなー、テンション低いじゃないですか。今年のカレンダーもいいデザインでしょ?
「あのですね、私、届いたときちょうど外出してたんですけど、わざわざオフィスから電話がきたんですよ。『B社から、クール宅急便でカニがとどいてます!』って・・・」
聞けば、あまりにも寒い日だったんで箱が冷え切り、受け取った人はクール宅急便と勘違いしたらしい。しかも中身がカニと書いてある。かたすみに「なんちゃって、ホントはカレンダー」と書いてあることになどだれも気がつかない。オフィスは歓喜に包まれ、その日の食卓が目に浮かんだのだろう。
「私、すっとんでオフィスもどりましたよ。ところが開けたらカレンダーじゃないですか・・・。もうオフィス内、大ブーイング・・・。しばらくウチには近づかない方がいいかとおもいます。たまえさん、殺されますよ・・・」
・・・ということがあったのだ。いや、しかけたのはあたくしなのだが、日本には人を呪わば穴ふたつということわざがあるので、あたくしは以来、宅配便には細心の注意をはらっている。
そんなわけで、もはや中身が「りんご」と言われてもそう簡単に信じるわけにはいかないのだよ、アケチ君。あたくしの友人の名はアケチ君ではないし、そもそもまず反省しろよという話もあるがな・・・
で、問題の宅配便の中身だが、案の定、はい、おいしいおいしい、それは立派なまぎれもないりんごでした・・・